陰謀論・秘密組織・
MKウルトラ――政府が「心を操る方法」を探した記録
政府が、自国民の心を操ろうとした。これは「説」ではありません。アメリカ議会の公聴会記録に残っている、実在した計画の話です。
記録の概要
1953年4月、アメリカの情報機関CIAの長官アレン・ダレスが、ひとつの極秘計画を承認しました。名前は「MKウルトラ」。担当したのは化学者のシドニー・ゴットリーブです。
目的は、人の心や行動を外から変える方法を見つけること。冷戦のさなか、敵国が「洗脳」の技術を持っているのではないかという恐れが背景にあったとされます。
計画では、LSDなどの薬物、催眠、感覚を遮断する実験などが行われました。実験の多くは大学や病院などの外部機関を通じて資金を流す形で進められ、被験者の中には、何も知らされていない人もいたことがわかっています。
ここからが、記録に残っていない部分
1973年、当時のCIA長官リチャード・ヘルムズの命令で、計画に関する文書の多くが破棄されました。
1975年、ロックフェラー委員会と上院のチャーチ委員会が、CIAの活動を調べる中でこの計画に触れます。そして1977年、情報公開請求をきっかけに、破棄を免れた約2万点の文書が見つかりました。多くは会計の記録でした。同じ年の夏、上院で公聴会が開かれています。
では、燃やされた文書には何が書かれていたのか。実験の全体像、被験者の人数、その後の追跡。それを知る記録は、もう残っていません。
記録の仕分け
記録に残っていること
- 計画が実在し、CIA長官の承認で1953年に始まったこと
- 本人の同意を得ない薬物実験があったこと
- 1973年に文書の多くが破棄されたこと
- 1977年に残った文書が見つかり、上院で公聴会が開かれたこと
説の部分
- 「計画は名前を変えて今も続いている」という説
- 特定の事件や人物がこの計画で操られていたという説
否定・未確認
- 上の「説」を裏づける公的な記録は見つかっていない
- 破棄された文書の中身は、誰にも確かめられない
出典
- 米上院 公聴会記録「Project MKULTRA, the CIA's Program of Research in Behavioral Modification」(1977年)
- 米上院 チャーチ委員会 最終報告(1976年)
- CIA 情報公開閲覧室(FOIA Reading Room)の MKULTRA 関連文書