陰謀論・秘密組織・

イルミナティ――実在した秘密結社は、なぜ「世界の黒幕」になったのか

「世界は、ある秘密結社に操られている」。その名前として真っ先に挙がるのが、イルミナティです。この結社は、実在しました。ただし、ほんの短いあいだだけ。

この記録の結論

わかっていること
イルミナティは、1776年5月1日にインゴルシュタット大学の教授アダム・ヴァイスハウプトが作った秘密結社です。会員は一時2,000〜3,000人に増えましたが、バイエルン選帝侯の布告で1785年に名指しで禁止されました。
わかっていないこと
結社が禁止のあとも生き延び、今も世界を動かしているという説を裏づける記録はありません。

実在した結社

1776年5月1日の夜、ドイツ南部インゴルシュタットの近くの森で、5人の男が最初の集まりを開きました。中心にいたのは、大学で自然法と教会法を教えていたアダム・ヴァイスハウプトです。

結社は、迷信や教会・君主の力に対して理性を重んじる啓蒙思想を、仲間うちで広めようとした改革派の集まりでした。会員は1782年に約600人、1784年の終わりには2,000〜3,000人に達したとされます。

1784年6月、バイエルン選帝侯は許可のない結社をまとめて禁じ、1785年3月にはイルミナティを名指しで禁止しました。1787年8月の布告では、会員であること自体に死刑が定められています。ヴァイスハウプトは大学の職を失い、バイエルンを去りました。

「黒幕」になるまで

結社が消えて数年後の1789年、フランス革命が起きます。その混乱の中で、革命は秘密結社が裏で仕組んだものだと説く本が書かれました。1797年、スコットランドの学者ジョン・ロビソンは『陰謀の証拠』で、フリーメイソンとイルミナティがヨーロッパの宗教と政府を倒そうとしていると主張しています。

その後、イルミナティは小説や映画、インターネットの陰謀論の中で、あらゆる事件の黒幕として使われるようになりました。ダン・ブラウンの小説『天使と悪魔』も、この名前を使った作品のひとつです。

こうした黒幕説は、歴史の中で特定の民族や宗教への偏見と結びつけられてきたこともあります。記録のない「黒幕」を名指しする話には、注意が要ります。

記録の仕分け

記録に残っていること

  • 1776年、バイエルンでイルミナティという秘密結社が作られた
  • 1784〜1787年の布告で禁止され、創設者は大学の職を失った
  • フランス革命のあと、「革命は秘密結社の陰謀」とする本が書かれた

説の部分

  • 結社は禁止のあとも地下で生き延びた
  • 現代の世界情勢や事件を裏で操っている

否定・未確認

  • 禁止後も組織として続いたことを示す記録はない
  • 現代の黒幕説を裏づける公的な記録はない

よくある質問

イルミナティは本当に実在したの?
実在しました。1776年にバイエルンで作られた秘密結社で、1785年に選帝侯の布告で名指しで禁止されています。
イルミナティは今も存在するの?
禁止のあとも組織として続いたことを示す記録はありません。現代の「イルミナティ」は、ほとんどが陰謀論や創作の中の名前です。
なぜイルミナティが陰謀論に使われるようになったの?
フランス革命のあと、革命を秘密結社の陰謀とする本が書かれ、実在した結社の名前が使われたことが始まりです。

出典

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