ノースウッズ作戦――米軍が「自作自演の攻撃」を提案した記録
自分たちで攻撃を仕掛け、敵のしわざに見せかける。陰謀論でおなじみの筋書きです。1962年、それを本気で書いた文書が、アメリカ軍の最上層部から出されていました。
この記録の結論
- わかっていること
- 1962年3月13日、統合参謀本部議長ライマン・レムニッツァーの署名で、キューバへの軍事介入の口実を並べた覚書がマクナマラ国防長官に出されました。計画は実行されず、文書は1990年代、ケネディ暗殺に関わる記録の公開作業の中で表に出ました。
- わかっていないこと
- 提案がどこで、誰の判断で止まったのかを示す記録は、はっきりしていません。また、この文書があるからといって、ほかの事件が自作自演だったことにはなりません。
記録の概要
覚書の題名は「キューバへの米軍介入の正当化」。キューバ計画の作戦責任者エドワード・ランズデールの求めに応じて統合参謀本部がまとめたもので、1962年3月13日付で国防長官あてに出されました。添付された計画には「ノースウッズ」という名前が付いています。
覚書は、この案を計画づくりのたたき台として扱うよう勧めています。個々の案は、その都度検討するという書き方です。
書かれていた口実
国家安全保障アーカイブの要約によると、計画には次のような案が並んでいました。アメリカに住むキューバ人の暗殺を演出する。マイアミなどフロリダの都市やワシントンで「キューバ共産主義者のテロ」を装う。キューバ難民を乗せた船(本物か偽装)を沈める。キューバ空軍機が民間旅客機を攻撃したように見せかける。
キューバの海域でアメリカの艦船を爆破し、キューバの破壊工作のせいにする案もありました。1898年に戦艦メイン号の爆沈が米西戦争のきっかけになった出来事を引いて、「メイン号を忘れるな」型の口実と書かれています。
表に出るまで
どの案も実行されていません。文書が公になったのは1990年代、ケネディ大統領暗殺に関わる記録を集めて公開した暗殺記録審査委員会(ARRB)の作業を通じてでした。委員会は、レムニッツァーら歴代の統合参謀本部議長のファイルから、キューバ政策に関わる1961〜64年の記録を選び出して公開の対象にしています。
2001年には、国家安全保障アーカイブが覚書の全文を公開しました。
陰謀論の中での使われ方
ノースウッズ作戦は、政府は自作自演をやりかねないことを示す実例として、さまざまな陰謀論で引用されます。記録が示しているのは、1962年にそうした提案が書かれ、実行されなかったところまでです。ほかの事件の真相を、この文書から決めることはできません。
記録の仕分け
記録に残っていること
- 1962年3月13日、統合参謀本部が偽装攻撃を含む口実案を国防長官に出した
- 計画は実行されなかった
- 文書は1990年代、ケネディ暗殺記録の公開作業で表に出た
説の部分
- 同じような自作自演が、実際に行われた事件がある
- この計画を退けたことがケネディ暗殺につながった
否定・未確認
- この文書を、ほかの事件が自作自演だった証拠とする記録はない
- 計画と暗殺を結びつける公的な記録はない
よくある質問
- ノースウッズ作戦は実行されたの?
- 実行されていません。1962年に提案として書かれた計画で、どの案も実際には行われませんでした。
- ノースウッズ作戦を提案したのは誰?
- アメリカの統合参謀本部です。1962年3月13日付の覚書に、議長のライマン・レムニッツァーが署名し、マクナマラ国防長官に出しました。
- ノースウッズ作戦の文書は本物?
- 本物の公文書です。ケネディ暗殺記録の公開作業で表に出たもので、ジョージ・ワシントン大学の国家安全保障アーカイブが全文の写しを公開しています。