マンデラ効果――大勢の人が、同じ「間違った記憶」を持っている
南アフリカのネルソン・マンデラは、1980年代に獄中で亡くなった。そう覚えている人が、驚くほどたくさんいました。実際の彼は1990年に釈放され、のちに大統領になっています。
この記録の結論
- わかっていること
- マンデラ効果は、多くの人が同じ間違いを同じ形で覚えている現象の呼び名です。2022年の心理学の論文は、モノポリーの絵の紳士に片眼鏡があると覚えているといった、特定の絵柄で同じ誤った記憶がそろって起きることを実験で示しました。
- わかっていないこと
- なぜ特定の絵柄で同じ間違いがそろうのかは、まだ説明がついていません。同じ実験では、絵の見方や、ふだん目にする画像の違いでは説明できませんでした。
名前の由来
この呼び名を広めたのは、超常現象について書いていたフィオナ・ブルームです。彼女はマンデラが1980年代に獄中で死んだと覚えていましたが、2009〜2010年ごろのSF大会で、同じ記憶を持つ人がほかにもいると知りました。
ブルームはこうした記憶を集め始め、「マンデラ効果」と名付けました。間違いではなく別の歴史をたどった世界の記憶ではないか、という並行世界(パラレルワールド)の説も、ここから広まっていきます。
実験で確かめた研究
2022年、心理学者のディーパスリ・プラサドとウィルマ・ベインブリッジが、学術誌『Psychological Science』に論文を出しました。有名なキャラクターやロゴについて、本物と少しだけ変えた絵を並べ、どれが正しいかを選んでもらう実験です。
結果、いくつかの絵柄では、多くの人が同じ間違った絵を自信を持って選びました。片眼鏡をかけたモノポリーの紳士(本物はかけていない)や、尻尾の先が黒いピカチュウがその例として紹介されています。
視線の動きを調べる実験でも、間違える人と正しく選ぶ人で、絵の見方に違いは見つかりませんでした。ふだん目にする画像の大半は正しい絵柄なのに、同じ間違いが起きていたのです。
仕分けると
実験が示したのは、同じ誤った記憶が大勢の人でそろって起きる、ということまでです。並行世界が存在する証拠にはなっていません。心理学者の多くは、これを記憶の仕組みの問題として扱っています。
記録の仕分け
記録に残っていること
- 多くの人が同じ間違いを同じ形で覚えている例がある
- 2022年の実験で、特定の絵柄に同じ誤った記憶がそろうことが確かめられた
- マンデラは1990年に釈放され、のちに大統領になった
説の部分
- 並行世界(パラレルワールド)の記憶が混じっている
- 誰かが過去を書き換えた
否定・未確認
- 並行世界説を裏づける証拠はない
- なぜ特定の絵柄で同じ間違いが起きるのかは、まだ説明されていない
よくある質問
- マンデラ効果はどういう現象?
- 多くの人が、事実と違う同じ記憶を持っている現象の呼び名です。マンデラが1980年代に獄中で亡くなったという記憶が、名前の由来になりました。
- マンデラ効果はパラレルワールドの証拠なの?
- そう示す証拠はありません。2022年の実験は、特定の絵柄で同じ誤った記憶がそろうことを確かめましたが、原因は記憶の側にあるものとして調べられています。
- マンデラ効果の有名な例は?
- マンデラの獄中死の記憶のほか、モノポリーの紳士に片眼鏡があるという記憶、ピカチュウの尻尾の先が黒いという記憶などが知られています。