ヴォイニッチ手稿――600年前に書かれ、今も誰にも読めない本
どの言語にも似ていない文字。どこにも生えていない植物。水に浸かる女性たちの絵。アメリカの大学図書館に、誰にも読めない本が一冊、保管されています。
この記録の結論
- わかっていること
- ヴォイニッチ手稿は、イェール大学バイネキ図書館が所蔵する写本(MS 408)です。アリゾナ大学の放射性炭素年代測定で、羊皮紙は1404〜1438年のものとされました。
- わかっていないこと
- 何語で何が書かれているのか、そもそも意味のある文章なのかはわかっていません。暗号として読み解く試みは、どれも成功していません。
記録の概要
名前は、1912年にこの本を手に入れた古書商ウィルフリッド・ヴォイニッチにちなみます。彼はローマ近郊フラスカーティのイエズス会の学院から、これを買い取りました。その後、1961年に古書商H・P・クラウスが買い、8年後にイェール大学のバイネキ図書館へ寄贈しています。
中身は大きく6つに分かれます。植物の絵、天文や占星術の図、女性たちが水に浸かる「浴場」の図、宇宙を描いたような円形の図、薬の容器と植物の部分を描いた図、そして絵のない文章です。
年代測定でわかったこと
2009年、アリゾナ大学のグレッグ・ホジンズらのチームが、手稿の異なる部分から4ページ分、それぞれ1×6mmほどの羊皮紙を切り取り、放射性炭素で年代を測りました。2011年に発表された結果は、1404〜1438年。それまで考えられていたより古い年代でした。
ただし、測ったのは羊皮紙です。インクは炭素をほとんど含まないため直接は測れず、文字がいつ書かれたのかまでは確かめられていません。
解読をめぐって
「ついに解読した」という発表は、これまで何度も話題になってきました。けれども、所蔵するバイネキ図書館は、暗号として解こうとする試みは成功していないと説明しています。もし暗号であれば、の話です。
記録の仕分け
記録に残っていること
- イェール大学バイネキ図書館がMS 408として所蔵している
- 羊皮紙は1404〜1438年のものと測定された
- 1912年にヴォイニッチが買い取った
説の部分
- 未知の言語や暗号で書かれた秘密の知識の本
- 後の時代に作られた偽物
否定・未確認
- インクの年代は測れておらず、書かれた時期は確定していない
- 暗号としての解読は成功していない
よくある質問
- ヴォイニッチ手稿はいつ書かれたの?
- 羊皮紙は放射性炭素年代測定で1404〜1438年のものとされています。インクの年代は測れていないため、文字が書かれた時期はわかっていません。
- ヴォイニッチ手稿は解読されたの?
- されていません。解読したという発表はたびたびありますが、所蔵するイェール大学の図書館は、暗号として解く試みは成功していないとしています。
- なぜ「ヴォイニッチ」と呼ばれるの?
- 1912年にこの写本を手に入れた古書商、ウィルフリッド・ヴォイニッチの名前にちなんでいます。